51. 6M-P20 Single ミニアンプ実験(2SC1815 直接駆動)      公開:'22/05/01 追記:'22/05/08

目 次 : (1) 製作動機 = すぐ下、 (2) 動作確認・音出し・f特 @ (3) トランス交換で改善・f特 A
    (4) 実 験 :トランスに直流を流さないと どの位 低域が延びるか? f特 B、[ 以下 工事中 ]

(1) 製 作 動 機 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 No.18 (Classic Radio Collection)-(13)の中に 出力管 6Z-P1 の話がありますが、これに絡んで
思い出した事があります。「実用真空管ハンドブック」に、トランジスタと組み合わせたアンプの
回路例があり、当時の事(昭和40年代)なので PNP-Tr. 2段構成のアンプです(下の引用画像)。

このアンプを現代風に焼き直すとどうなるか、High-gm管 6M-P20・汎用Tr 2SC1815 で実験して
みる事にします。代表動作時 gm値は 6Z-P1:1.8mS、6M-P20:10.5mS なので 戦後 約15年の
間に 約 6倍、向上した事になります。 回路を検討してみると、出力を欲張らなければ 直結にした
動作ができそうです。 調整ポイントは 2SC1815 の コレクタ抵抗 電圧降下を使って、6M-P20 の
G1 バイアスを -6V にする事です。Vcc=12V は、6M-P20 カソード抵抗の電圧降下より得ます。

(2) 動 作 確 認 ・ 音 出 し ・ f 特 @ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 まず、有り合わせ部品を組み合わせ 下図の回路・写真の物を組み、バイアスチェックしました。
(抵抗器は 1/6W 炭素皮膜型のストックを活用、6M-P20 G2用を除き 全て組み合わせで使用中。)

上図より 6M-P20 は うまく動作してそうなので 音出しに TRY。(下の写真は 入力回路 未接続)
また Tr. 2SC1815-GR は Ic=0.8mA で動作しているので gm=Ic/(26mV)=30mS となります。

スピーカーを「突貫工事」で BOX に入れて、音出し。何だかイイ感じ・・ 下の写真 2枚の様な状態。
ただ この後、とんでもない事が発覚して トランスを交換する事になりました。(写真の下に続く)


さて、所詮 実験的プチアンプ、音質には期待してないですが、それを差し引いても低音が貧弱です。
音源のスマホアプリで音楽を鳴らして、低音ブーストを掛けて何とか聴けるレベル。 そこで、周波数
特性をチェックすると (↓)、NFB, Low-Boost 回路対応も虚しく、200Hz より下で スーッと減衰。

この低域減衰の仕方、トランスが(シングルアンプ用なのに)鉄芯にギャップを入れてない様です。
トランスを外して インダクタンス測定。→ Lo=14H (No-Bias)、Ldc=9H (@ DC_Bias 10mA) //


(3) ト ラ ン ス 交 換 で 改 善 ・ f 特 A −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 やはり ギャップなしですね。うーん、ヤラレタ! 実はこのトランス、15年位 前、大阪・日本橋の
ジャンク屋で安かった為 購入しておいた物。バッタモノなのか、はたまた商業施設等の館内放送用に
コンデンサ結合で使うヤツなのか? 兎に角 ここでは使えない為、虎の子の「東栄変成器 オリエント
コア」シングルアンプ用トランスに交換します。「初めからこっちを使え」と ツッコまれそうですが
ラジオ修理用に 温存しておきたかったので・・。トランス交換により、かなりマシな低域特性に改善
しました (↓)。バイアス最適化も行った回路 (↓↓) での特性です。 折角なので、スピーカーも少し
良い物を・・という事で、リサイクルショップで オーディオコンポに付いていた物を購入し 試聴中。


これはこれで良さげなので、もう少し 特性を測定後、枕元用アンプとして組み立て予定です。(続く)
しかし、新しい悩みも・・初めのトランスをどう使うか? 何とかして DC を流さない回路にしないと。


(4) 実 験 :トランスに直流を流さないと 本当に低域が延びるか? f特 B −−−−−−−−−−−−−
− − − − − − 注)初めのトランスに 戻して実験(念の為、追記 2022/06/12)− − − − − − −
 掲題の内容の方が気になった為、実験してみます。 トランスに直流を流さない回路ですぐ試せる物
と言えば SRPP (Shunt Regulated Push-Pull) でしょう。現状、1次側 Z=5.5kΩ あるトランスとの
インピーダンス整合は取れないですが、1W 足らずの出力ならば 何とか出るものと予想して、下図の
回路を組みました (↓)。ハイサイドに三極管 6R-A5 を入れた SRPP 構成、Zo=1kΩ程度の筈なので
最大出力は 0.3W 程度しかないですが f特の低域改善は効果覿面! (↓↓) 、シングル用トランスに
直流を流さぬ事が如何に効果的か、という事がよく解りました。 ・・この実験をした理由、実は他の
アンプで 6CW5系の球を使った SRPPを組む話があり、その事前調査的な意味で TRYした次第です。

高域が下がった理由は、トランスの L値が増えて Coによる高域カット量も増えた為と考えられます。

こんな小さな シングルアンプ用トランス (To:↓) であっても、低域特性を改善できるのが面白い・・・//




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