56. レイセオン(Raytheon) BH ガス整流管の特性                  公開:2022/11/03

100年近く前に開発された「ガス入り整流管」の特性を 測定してみます。これは放電管の性質を
利用し、フィラメントレス・コールドカソードで整流するもので、初期のエリミネーター受信機
(電池不用とする真空管ラジオ)に使われました。 資料は 当 HP No.28 (1) に 掲載済 ですが、
改めて梱包箱の効能書きを読む事からスタートします。初めに Type BH 全体写真を下に掲載。

残念ながら箱の上蓋は失っていますが、80年以上前の物が この状態で存在しており貴重です。
次の写真は、箱の効能書き+拡大図。出力管171のアンプや199を使ったラジオに好適と記載。


いよいよ通電です。白熱電球(300V,39W相当)を負荷にして(↓)直流を印加。球の両端電圧を
測定しながらカーブを描くと 2段下の様な特性です。この形は定電圧放電管と同じですね・・



比較用に ヒーター付き整流管(KX-80K)のカーブを併記しています(片Unit)が、これを見ると
Type BH は 電圧降下が大きく、電源利用率が悪いです。しかし面白い事に、トータルの電力
消費で比較すると(Io=75mA/片CH×2)、KX-80Kのヒーター電力(5V×2A=10W)がある為に
BH=11W, 80K=16W で、BH の方が 低消費電力です。100年前は トランスを巻くのも大変
だった筈なので B巻線だけで済む Type BH は それなりの価値があったものと考えられます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
次の写真は暗くして撮影したもので、内部放電の光がスポット状に漏れているのが見えます。
動作チェックは 電極の放電を片側ずつさせながら行いましたが、結構 熱くなっていました。
ヒーターが無いと言っても、放電によって 10W前後 損失があるので、当然かもしれません。
伊藤喜多男 著「音響道中膝栗毛」に「この球の温度上昇には閉口した」と 記述あり、実際に
動作させて「成程、この事か!」と解りました。試しに 71A アンプで 使ってみようかな・・




※ お願い : 本サイトの画像・回路図・データ類の著作権は、管理人にあります。無断転載はご遠慮願います。

注)この下のスペースは、スマホで閲覧時 CMが出て 隠れる部分がある事を対策する為、追加した物です。







inserted by FC2 system