57. マジックアイ / 同調指示管 6R-E13 : 構造と使用法      公開:'22/12/07、追記:'23/07/02


当ホームページにおいて よく出て来るマジックアイ(同調指示管)は 6R-E13 で、これは筆者に
とって 昔から馴染みがあった為です。 6R-E13 を 初めて見たのは、筆者が幼少の砌(ミギリ)(笑)、
金持ちの親戚の家で カラーテレビ(当然 真空管式)に、内蔵されたモノです。今はとても有難い
時代で、当時のテレビが「ヤフオク!」に出品されていたので、画像を拝借し 下に掲載します。

ターレット式チャンネル内側のツマミを押し回すと、6R-E13 蛍光表示部が点灯し、カラー信号を
微調整(同調させる)して 綺麗な映像にします。何でも自動化された現在では 考えられぬ仕掛け
です。それから時は過ぎ、テレビはブラウン管を除き 半導体化、昭和 55年頃 6R-E13 がジャンク
市場に放出された様で、筆者が学生時代には 1本 \300 (!) という 破格値だった為、買い漁り、
自作ラジオの同調指示や、No.1 「6360 AB1級 Push-Pull Amp.」 信号レベル表示に 使ってます。
(参考:6R-E13 実際の使用例を下の方に掲載。出典:電子技術 カラーテレビ サービスガイドブック 1967 )
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使って気付いたのですが、6R-E13 は 6E5 と比べて寿命がとても長く、上記 No.1のアンプで交換
したのは、アンプを製作してから13年後。 1日 1時間の使用としても 4,000時間以上 使えた事に
なります。6R-E13 の劣化した球を観察すると、蛍光面の焼け付き(黒く変色)の他に、ヒーター
両側の近傍ガラス面に ヒーターの金属成分が蒸着した様な 変化が見られます。ここでピンと来た
話・・・ 6E5 の寿命が数100時間と短い理由は、蛍光体を塗布してあるターゲット電極に上記の金属
成分が付着し、蛍光体が発光する前に金属成分を伝って放電してしまう為(※)、と考えられます。

6R-E13 は 上記で述べた 6E5 の様な問題を回避する構造の為 長寿命。これで多分 合ってる筈・・・
従って、6E5 の様に ターゲット電極に蛍光体 塗布タイプを(真空管ラジオで)長持ちさせるには
聴きたい放送に同調したら B+電源を OFF するのみでなく、ヒーター電圧も10%程度 低めに切り
替える、といった工夫をした方が良さそうです。今では大変、貴重な 6E5、大切に使いましょう。
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さて「復刻版 1962年 ナショナル真空管ハンドブック」を見ると、6R-E13 のピン接続図が何やら
ゴチャゴチャした表記で 6E5 等と比べて複雑ですが、これは実体と忠実に合わせた為の様です。
下の 6R-E13 ピン接続図の左半分が表示部で、カソードに接続したグリッドは「空間電荷抑制用」
で、これとターゲット間にある傾斜プレート電極は、陰影を生成する「電子ビーム制御用」です。

【 画像追加 '22.12.10 】アンプでの使用例(↓)と 基本回路・写真、及び 細部拡大画像(一番下)

※ この辺りの話、他の方(林さん 他)の Website も 参考にさせて頂きました。=======

下の内容が、実際に 6R-E13 を 多く使用した事例と考えられます。カラー信号を増幅・検波して
マイナス電圧を作って、6R-E13 の陰影を閉じさせる様にしています。ナショナルの他、東芝でも
採用された様です。真空管カラーテレビの修理・再生は、本体が重いし大変だろうな・・・(続く)

林さんのサイトを手本にして 細部拡大画像に TRY (↓)。 うーん、なかなか うまく撮れない・・・
【 追 記 '22/12/14 】−−− 更に 下へ続きます。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

仕方がないので、劣化した球をバラシて 撮影してみました (↓)。これで漸く各電極が見えます。
増幅用の三極管部分の電極(P・G・K)は とても小さく、サブミニアチュア管 程度しかありません。
カソード(K)の酸化物被覆の幅も狭く、ちょうどターゲット(TA)の電子ビーム窓と同じ 4mm位。
空間電荷制御グリッドの内側は 黒く変色しており、長時間使用による「電子焼け」でしょうか?


【 追 記 '23/07/02 】−−−− 遅れ馳せながら、単体の特性を測定 −−−−−−−−−−−−−−
順番が逆になりますが、単体の特性を評価しました。例によって バラックで回路を組んで (↓)、
陰影の長さを測定し、規格のカーブと照合。(出典:「復刻版」 1962 ナショナル真空管ハンドブック)

中古品の為か、陰影の閉じる G-Bias は 浅めですが、Semi-Remote Cut-off 的な特性です。




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